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創傷被覆材 (ハイドロコロイドに限定して) by 形成外科 阿部周策Dr

2017.02.06

形成外科 阿部周策dr

 
 
創傷被覆材といういかめしい名前が正式な用語ですが、実は病院やクリニックに行かなくても、手に入れることができる時代になりました。
 
 
具体的にはハイドロコロイドと総称されるグループの製品をちまたで手に入れることができます。
しかしながら、使い方が正しくなかったために病状を悪化させてしまっている患者さんも散見されます。
創傷被覆材にはいろいろなカテゴリがありますが、それらすべてをここで扱う意味はないので、
ここではハイドロコロイドに特化して説明いたします。
 
化学的な理論などは成書やほかのマジメなウェブサイトに当然のごとくお譲りすることにして、実用面を中心になるべくシンプルにいきたいと思います。
 
【そもそも、どれがハイドロコロイドなの?】
 
リーダー ハイドロ救急パッド (日進医療器)
メディケア ハイドロウェットα (森下仁丹)
バンドエイド キズパワーパッド (ジョンソン・エンド・ジョンソン)
デルガード クイックパッド (阿蘇製薬)
ケアリーヴ 治す力 (ニチバン)
カットバン リペアパッド (祐徳薬品工業)
エルモ ハイドロ救急バン (日進医療器)
 
などがあります。他にもあるのですが、商品名に「ハイドロコロイド」が含まれている商品は割愛させていただきました。スミマセン…。
それでもこんなにあるんですね!私も驚きました。
 
【どんな時に使うか】
浅い擦り傷などが最もよいターゲットです。
転んだりして、ザザーッとすりむいた擦過傷など。
従来の絆創膏のように、キズに当てる部分と接着面という分業が無く、全面が接着可能かつキズに当ててよい仕様なので、
目や口のまわりにちょっとトリッキーな形に貼りたい場面や鼻などの立体的な局面にはうってつけと言えるでしょう。
 
 
【勘違いされやすい点】
ハイドロコロイドは創面(傷口)から出てくる滲み出しによって自身がゲル状に変化し、キズがある部分に湿潤環境を与えます。
これがキズの治りを促進するとともに、痛みの軽減にもつながります。
剥がして交換する時も、ゲル化しているので、乾いたガーゼのようにキズに貼り付いて、と、とれない…ということもなく快適です。
 
が、問題は、このゲル化した部分が、ともすれば「膿」のように見えることです。
知っていれば(or 使ったことがあれば)、そういうモノだと、気にならないのですが知らずに、化膿しましたと言って受診される方がたまにいらっしゃいます。
 
 
 
【注意が必要な点(メジャー)】
感染です。
 
創傷被覆材全般に言えることですが、「被覆」してしまうので、
洗わずにいきなりペタッと貼ってしまうと、バイ菌もキズ周囲に封じ込めてしまうことになります。
擦りキズを洗うのは痛いですが、貼る前に必ず洗いましょう。
外でのケガなどで、傷口に細かい砂利などが付いている場合は、病院を受診することをおすすめします。
これらは多くの場合、サーっと流したくらいではほとんど取りきれません。しっかり痛み止めを打った状態でブラッシングして除去するのがよいと考えています。
 
他の診療科のDr.に、そこまで(縫合するわけでもないのに、局所麻酔を注射してまで)するのかと驚かれたこともありますが、結論としては、当然「するべき」だと思っています。
(とても小さいお子さんの場合は難しい決断を迫られます。そういう場合はバランスです。ケガの場所や親御さんの理解・意向などいろいろな要因に左右されます。)
 
砂利をそのまま残すと外傷性刺青になる可能性が高いです。
 
洗っても細菌はゼロにはならないので、洗ってから貼ったとしてもキズが治るまで貼りっぱなしというわけにはいかないことが多いです。
(ゲル化した範囲を見ながら、だいたい1-3日くらいで交換。初日は8-12時間おきに交換してもいいくらいの滲み出しが出ることもよくあります。交換する時も、最初の時と同様によく(しかし、やさしく)洗ってから新しいものに貼り替えましょう)
 
5-10年ほど前くらいからでしょうか…、各メーカー、抗菌作用のあるAg(銀)含有の被覆材を出し始めましたが、それはまさに「感染」が被覆材のネックであることを示唆していると考えるべきでしょう
 
【注意が必要な点(マイナー)】
ハイドロコロイドは、たまに創面が「むくむ」ことがあります。
 
感覚的な表現で申し訳ないです。創傷をよく診ているDr.には伝わると思うのですが(単に過剰肉芽という表現よりも、水っぽい、ハイドロコロイドでたまに見られる現象)、これを読んでくださっている患者さんは、「ふーん…そんなこともあるのか」くらいで大丈夫です。
 
こうなってしまうと完治しそうでなかなか上皮化がすすまなくなります。
ハイドロコロイドから別の処置方法に切り替えればすぐによくなるので、あまり大した問題ではないのですが、そういう判断を患者さんに求めるのは難しいと思います。
 
 
【まとめ】
 
・ハイドロコロイド系創傷被覆材は、とても優れた医療材料です。
・…が、貼りさえすればどんなキズをも治す魔法のシートではありません。
 (切創に近い挫創などはもっとよい方法があります)
・貼る前にキズをよく洗いましょう。
・経過中、「…なんか変だな」「これでいいのかな?」と思ったら受診してくださいね。
 
浄水皮ふ科クリニックHP http://josui-hifuka-clinic-com.check-xserver.jp/wp/
 
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