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スカーレスヒーリング by 形成外科 阿部周策Dr

2017.02.27

形成外科 阿部周策dr

Scarless healing
 
耳にも心地よく響くこのフレーズ。怪我した患者さんや手術を受けた患者さんの悲願であると同時に形成外科の究極のゴールのひとつでもあります。
 
字面通りの意味は、
「キズアト」はもちろんのこと色素沈着さえもなく、何事もなかったかのように受傷前/術前の状態に回復することだと理解しています。
 
キズやキズアトの扱いは形成外科が他の診療科に比べて得意とする分野です。
そのような情報を得て形成外科を受診される患者さんの中には、かがやかしい結果を心に抱いている方もおられますが、残念ながら、基本的には縫ったキズは消えません。
 
時としてこちらもびっくりするくらい非常にきれいに治る方もいらっしゃいますが、肉眼的に認識不能なまでにきれいに治ることはとてもとてもとても稀なことです。
 
このコたちは、ザクザクっと縫合しても実にきれいに治ってしまいます。これまでのところ、肥厚性瘢痕/ケロイドは、事実上ヒト特有の疾患と言ってよいと思います。疾患モデル動物も報告されたりしますが、再現性という点ではなかなか厳しく、疾患モデル動物が存在しないことも肥厚性瘢痕/ケロイドの治療方法のinnovationへのおおきな障壁のひとつに挙げられます。
 
 
 
 
もちろん少しでもスカーレスヒーリングに近づけるべく、デザイン(皮膚を切る方向、血流への配慮など)や術中操作、術後のケアに関して日々あれこれ考えているのが形成外科医なのですが、
 
裏を返せば、現在の医療水準ではその実現が難しいという現実を暗示しているといえるでしょう。
 
「キズは残りますか?」
 
 
浄水皮ふ科に勤務してからもっともよく尋ねられる質問のひとつです。
これまでは大学病院や大きい総合病院に勤務していることが多く、そこでは他科ですでに何度も手術を受けたていたり、最初からいわゆる大怪我でキズが残らないわけがないとおそらく思っていらっしゃる患者さんが多く、このような質問はあまり受けませんでした。
 
心配はごもっともで、このような質問をしてくださること自体は、形成外科に対する大いなる期待のあらわれであるとポジティブに受け止めつつも、
 
「完全に消えてなくなることはないと思ってください」
 
とお話ししています。
(その刹那に見せるちょっとした落胆が表情筋のこわばりに現れるのが、また切ないのですが…。)
 
 
ネガティブなことばかり伝えてもただ恐怖をあおる結果になることも多いですし(このあたりは医療者からの伝え方と患者さんの性格にも依るのでしょう)、尋ねられない場合は積極的には強調していません。
 
稀な合併症などを事前にどこまで説明するか、どこからが稀なのか、などは多くの臨床医が少なくとも一度は悩んだことがあるテーマかと思います。
 
初診の患者さんに書いていただいている問診票によると、webのホームページやブログを見て受診を決めたという方がかなり多いようなので、今回ここに私の考えを書いておくことにしました。何の免責にもなりませんが。。
 
当院で手術を受ける方には、折にふれ
「他に訊いておきたいことはありますか?」
と尋ねるようにしています。
また、看護師も
「医師の説明で分からなかったことや、訊きそびれてしまったことはないですか?」
と声をかけてくれているようなのでお気軽にご相談ください。
 
浄水皮ふ科クリニックHP http://josui-hifuka-clinic-com.check-xserver.jp/wp/
 
 
 
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